研究概要 |
A.細胞核移植用の無核胚の作成と無核胚の性質:50μg/ml Hoechst 33342,0.4% urea-0.5% NaCl溶液中でキンギョの卵を受精、核の顕在化をしたのち、卵膜を除去し、プロトプラスト化した卵を得た。この卵をagaroseで作成しchamberへ移し、蛍光顕微鏡下で核の動態を観察しながらmicro injectorで核を吸引した。針先を鋭利にし卵細胞質へ針先を挿入する方法は、卵膜の柔軟性のために挿入が困難で除核には適さなかった。針先を平坦にして卵黄膜に付着させ、injectorにて核を細胞質ごと吸引することにより比較的容易に核除去卵が得られた。第1卵割の各ステ-ジと2細胞期で除核、10時間培養した後、パラフィン切片とし、DAPI染色、H&E染色を施し組織学的な観察を行った。その結果、第1卵割の中期に除核処理を施した卵ではその後の卵割が進行せず、無核胞胚は得られていなかった。第1卵割の前期と後期で除核を行った。卵からは、正常胞胚程度にまで卵割の進んだ無核胚が得られた。2細胞期の片方の核を除去した場合、有核、無核の細胞とも卵割が進むことが確認された。この様にして得られた無核胚の各割球はその大きさや形態の点で正常胚とは著しく異なっていた。 B.外来各導入法としての卵融合法の検討:卵同士の接着に関わる高周波パルスは、今回購入した装置の設定範囲では非常に弱く融合の前段階処理にはチャンバ-を特殊化するなどの改善が必要であった。融合へ導くパルスは、電圧を高めるほと、またパルス幅を広げる程、卵の急激な収縮を引き起こすことが示された。溶液へのサイトカラシンBの添加や低温処理により細胞骨格を弱める処理を施しても収縮を抑えることはできなかった。受精直後の卵ほどこの収縮は弱く、時間の経過に伴いより強く収縮が起こることが観察された。卵が収縮を起こすと卵同士の接着部分が離れ、融合にはいたらなかった。
|