研究概要 |
今年度は現在広く認められている広義のサバ型魚類(一般にスズキ目 Perciformes 内の1亜目サバ亜目Socombroideiとして)に属するムカシクロタチ科 Scombrolabracidae,クロタチカマス科 Gempylidae,タチウオ科 Trichiuridae,サバ科 Scombridae,メカジキ科 Xiphiidae,マカジキ科 Istiophoridae 及びアマシイラ科 Luvaridaeの7科の魚類の外部形態を詳細に相互比較研究して以下のような見解を得た。 1.仔稚魚から幼魚を経て成魚に至る成長過程を通して比較して、アマシイラ科に属する1科1属1種のアマシイラとニザダイ亜目 Acanthuroideiに属する魚類との間に著しい類似相同関係を見出し、両者の近い系統類縁関係を確信するに至った。従って、アマシイラ科をサバ亜目から除くのが妥当だと考えられた。 2.カジキ類(メカジキ科、マカジキ科)とサバ科の間の数々の類似は、詳細に比較検討した結果、真の相同関係ではなくて、両者が外洋に適した生活をするに従い体形を大型化させ、同時に高速遊泳能力を身につけるに至った同様の適応進化をたどったがための見かけ上の相似関係、即ち、収斂進化現象であると確信するに至った。しかし、サバ亜目外のどの分類群にもカジキ類と真の類縁関係を有するものを、現在までのところ見出せないので今直ちにカジキ類をサバ亜目から除外することは妥当でないと考えられた。 3.体形、側線系、歯、鱗、口の形態など多くの外部形態を比較検討して、サバ亜目内でのクロタチカマス科、タチウオ科及びサバ科の3科の強い類縁関係を認め、この3科は亜目内で1自然群をなしていることは明らかであることが確認された。ムカシクロタチ科はこの3科とある程度の類縁関係を有することは認められるが、より進化的に原始的な状態にあると考えられた。
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