研究概要 |
○分布・行動に関する調査 大村湾では湾内航路の乗組員からの報告例が増したため,発見頭数が増加した。これによって、これまで季節的な移動について全く分からなかったが、12月から3月にかけての発見が多く、夏期における発見数の減少が伺がえるようになった。ただし、冬期の発見例は湾南東部の飛行場付近に集中しており、夏期の減少は分散に伴うものと思われる。しかし、湾から出ていってしまうという証拠は未だにない。一方,有明海及び橘湾における調査では3年近いデ-タ-の蓄積が出来、各航路毎に独特な季節変動が繰り返されていることが明らかになった。即ち、有明海奥部では冬期に発見例が増すのに対して、有明海から出た橘湾では同時期に減少している。この間の有明海湾口部及び湾中央部での季節変動から、これらの海域では有明海奥部と橘湾の間を季節移動していることが分かる。 ○成長に関する調査 混獲又は漂着個体の報告が増えた結果、前年の2倍近い個体の収集が出来た。その結果、新生仔及び胎仔の状況から長崎沿岸における本種の出生時期は秋から冬にかけてであることが推察された。従って、冬期の移動は繁殖に関係しているのではないかと考えられた。雄は約3年半くらいで成熟するのに対し、雌ではその約2倍の年数がかかるようである。今回入手した最高零の個体は雄で21.5才、雌で25.5才であった。 ○資源量について 発見が極めて困難であり、発見頭数が少ないこととその発見誤差の変動が大きいため、資源量の推定は試みたが,特定の数値に絞り込むことは出来なかった。ただし、大村湾では危械的な状態にあることだけ付しておく。
|