研究概要 |
伊豆半島,伊豆諸島,紀伊半島および四国で,海綿,腔腸,外肛および原索動物計47種を採集し,それぞれの熱メタノ-ル抽出物から水溶性および脂溶性画分を調製した。各画分についてホスポリパ-ゼA_2阻害活性を調べたところ,海綿12種,ソフトコ-ラル2種およびコケムシ1種に活性が認められた。概して脂溶性画分に活性を示すものが多かったが,伊豆半島で採集した海綿Discodermia sp.の水溶性画分が0.3μg/mlという低濃度で活性を示したのが注目された。 次に,スクリ-ニングで有望と思われた海綿2種から活性物質の単離と化学構造の解明を試みた。まず,紀伊半島産のTreinia sp.をエタノ-ルで抽出後,溶媒分画,ゲル濾過などで分画し,最終的に活性成分を逆相系カラムを用いたHPLCで精製して枠品を得た。本物質はIC505.0×10^<-5>Mでホスホリパ-ゼA_2(PLA_2)を阻害した。主に二次元NMRスペクトルの解析により化学構造を検討した結果,既知のフラノセスタテルペンのpalinurin(1__〜)と同定された。 一方,水溶性画分に強い活性が認められた伊豆半島産のDiscodermia sp.を70%エタノ-ルで抽出,溶媒分画,ゲル濾過および逆相液体クロマトグラフィ-で順次分画して4つの活性物質を得た。これらはIC_<50>3.5〜7.0×10^<-7>MでPLA_2を阻害するとともに,in vivoで抗炎症作用を示した。活性物質はクロマトグラフィ-における挙動などから既知の環状ペプチド,discodermin A-D(2__〜〜5__〜)と同定した。
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