研究課題/領域番号 |
01560223
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
菅原 庸 三重大学, 生物資源学部, 教授 (80024826)
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研究分担者 |
木村 俊夫 三重大学, 生物資源学部, 助手 (50024831)
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キーワード | 微生物細胞溶解酵素 / 真菌細胞溶解微生物 / 低温性溶菌酵素生産菌 / 微生物細胞溶解スペクトル / 海洋細菌 / 溶菌酵素利用 / キチン分解能 / キチン脱アセチル化能 |
研究概要 |
(1)真菌(カビ・酵母)細胞を溶解する微生物は、海洋環境において、きわめてわずかであった。種々の海洋環境において真菌細胞溶解菌を探索した結果、西表島マングロ-ブ泥湿地の泥試料より10菌株を分離することに成功した。これらは、Bacillusに属するもの8株、放線菌と思われるもの1株、その他1株であった。これは、海洋環境よりの真菌細胞溶解菌分離の最初の例である。 (2)これまで海洋環境より分離した種々の従属栄養細菌株のうちで、キチン・キトサン分解能、キチン脱アセチル化能を有する菌株を探索・スクリ-ニングした結果、キチン分解菌が150余株、キチン脱アセチル化菌が1株確認することができたが、キトサン分解能を有する菌株は検出することができなかった。キチン脱アセチル化菌はBacillusに、キチン分解菌も多くはBacillusに属するものであった。 (3)1990年2月三重県五ケ所湾岸より海水・海浜砂・漂着生物残骸などを採取して、低温性溶菌酵素生産菌の分離を試みたが、全く検出することができなかった。しかし、これまでに海底堆積物中より分離した種々の従属栄養細菌のうちで、5℃の低温で溶菌能を有する菌株を探索・スクリ-ニングした結果、数株を確認することができた。これらの菌株はすべてBacillusに属するものであり、現在、低温における溶菌酵素生産条件を検討中である。 (4)細胞溶解酵素の利用の有効性を探るため、微生物細胞溶解スペクトルを検討した結果、分離した真菌(Aspergillus niger)細胞溶解微生物のうちで、MAS5株は酵母細胞も同時に溶解する能力を有し、種々の分野への利用の可能性を示唆した。また、5℃にて溶菌能を有する菌株はMicrococcus以外の細菌株には顕著な溶菌能を示さなかった。 以上の微生物操作は、すべてクリ-ンベンチを使用した。
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