研究概要 |
フィルダムの設計・施工の最適化に不可欠である施工可能日数の推定方法を確立するため,実際に施工されたフィルダム遮水部の施工デ-タを昨年度に引き続いて調査し,その取りまとめを行った。本年度は施工中あるいは施工完了直後の3つのダム(大原,日中,赤坂)を選び降雨量と盛立作業の関係を調べた。 1)、大原調整池;このダムは既設の豊川用水幹線水路の調査池として愛知県新城市に築造された中心遮水ゾ-ン型のフィルダムである。平成元年8月に盛立が開始され現在施工中であるが,昨年度と同様盛立作業の実施された日を取り出し,これを日降雨量別に分類して相対累積度数曲線を求めて、盛立が行われた日数の90%を占める日降雨量Rqoを求めると,1.0mm/dとなった。 2)、日中ダム;このダムは福島県耶麻郡に建設された多目的ダムで,昭和56年6月に盛立を開始し昭和63年7月に本堤の盛立を完了した。施工日数523日間に及んだこのダムの,遮水部盛立作業が行われた日数の90%を占めるRqoは3.0mm/dとなった。この値は昨年度に調査した同じ東北管内の葛丸ダムの値(2.5mm/d)とほぼ一致する。 3)、赤坂ダム;このダムは佐賀県東松浦郡肥前町に築造された調整池で,昭和63年5月から平成元年8月迄の131日にわたって盛立てが行われた。このダムの盛立作業が実施された日数中,累積度数90%の降雨量Rqoは1.7mm/dであった。 本年度調査した3つのダムのRqoは、いずれも非常に小さい値を示したが、これは遮水材料の細粒分含有量によるものではないかと考えている。またRqoをとることの妥当性についても検討し、この値が適当であることを示した。
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