研究概要 |
フィルダムの設計・施工の最適化に不可欠である施工可能日数の推定方法を確立するため,実際に施工されたフィルダム遮水部の施工デ-タを調査し畿つかの知見を得た。調査対称としたフィルダムは,東北地方で2ケ所(葛丸,日中),北陸地方で1カ所(笹ケ峰),東海地方で2カ所(大原,中里)および九州地方で1カ所(赤坂)の計6ダムである。これらのダムに対して,遮水ゾ-ンの盛立作業が実施された日の降雨量を取り出し,これを日降雨量別に分類して降雨階級別の度数を求めて累積度数曲線図を作成した。そして、この曲線図から実際に施工された日数の90%を占める日降雨量R_<90>を求めて,これが施工可能日数推定の規準として妥当であることを示した。各ダムには地方別の特徴が認められるものの,遮水ゾ-ンの施工に当ってストックヤ-ドをもうけて施工する場合にはあまり大きな差異は認められず,何らかの規準が得られそうであるが,調査したダム数が少なく,これを普遍化すめためには更に追加調査が必要と考えている。各ダムのR_<90>の値は1.0mm/dから11.0mm/dの間にあり,用土をストックした場合には特殊な場合を除いて,ほぼ1.0mm/dから3.0mm/dの間で実施されている。また、降雨後の休工日数もストックヤ-ドを設置すれば1.0日から2.0日程度で十分であることがわかった。 今後さらに施工デ-タを入手して,R_<90>と降雨後の休工日数の確定を行ない、10年間程度の降雨資料から施工可能な日数を推定する手法を提案できると考えている。
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