研究概要 |
当研究室では、昭和48年より、コンクリ-トの耐酸性に関する実験を継続して行ってきている。特に、pHが約3.5程度の水(銅山廃坑からの湧出水混入による)が流下している自然河川に、多数のコンクリ-ト供試体を浸漬し、その耐酸性を追及してきている。これまで実験に使用してきているセメントの種類は、普通ポルトランドセメント、それらにAE剤を混入したものと高炉セメントB種であるが、これらに加えて、今回は、フライアッシュB種セメント、耐硫酸塩性セメント(当初は、シリカセメントを計画していたが、国内では既に生産中止になっていたため急遽変更)を使用し、主要な国産セメントの耐酸性を比較できるようにすることができた。 平成元年度に実施できた実験内容と、今後の実験計画を列挙する。 (1)鳥取市近傍にあるpH約3.5の水が流下する小さな谷川に、実験期間5年にわたる両セメントから成るφ10×20cmの円柱供試体を計30本を平成元年11月に浸漬した。これらを1年毎に引揚げ、密度、超音波伝播速度、動弾性係数、圧縮強度の測定と腐食生成物の検出を行う。 (2)室内恒温水槽内には、(1)の現地浸漬供試体と対を成す両セメントから作製した同形上の供試体30本を養生し、半年毎に、密度、超音波伝播速度、動弾性係数を測定する。更に、1年毎に上記測定項目以外に圧縮強度試験を実施する。 (3)(1)の現場以外に、姫路市の皮革排水管路内に、普通ポルトランドセメント,フライアッシュB種セメントおよび耐硫酸塩性セメントから成る10×20cmの円柱形供試体を各12本づつ計36本を気相内(空中)に設置する機会を得た(平成2年1月31日)。これらについても(1)の場合と同様な測定項目について、3〜6ケ月ごとに引き揚げ追跡測定していく予定である。
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