本研究は平成元年と2年の2ケ年計画である。初年度の目的は水田用調整池に関して利水動向を調査すること。調整池に観測機器を設置し、水収支調査を実施することである。次年度は調査結果を解析し、水田用調整池システムの計画に必要な設計指針を明らかにする予定である。以下に平成元年度の実績について述べる。 1利水動向調査 1972年から1987年にかけて県下5地区で利水動向調査を行った。その結果を今回詳細に分析した。 (1)このうち開水路により水田灌漑がおこなわれている鷹栖口若林口地区と富山県全県地区との調査により以下のことがわかった。すなわち耕地面積が大きいほど、営農意欲の旺盛な人ほど、用水の現状に不満を抱いており、又同時に水管理を担当しているのは比較的若い層が多い。富山県の水田整備率は全国的にもトップクラスであるが、用水状況に不満をもっている人が多く、その原因は灌漑時刻が早朝および夕方に集中するためとしている。そして投資面の不安さえなければ、これを解削する新しい灌漑方式に興味をもっている人は73.7%にのぼる。 (2)調整池システムにより水田灌漑が行なわれている庄川地区、頼成地区、井口地区の調査により以下のことがわかった。いずれの地区でも調整池システムに対する評価は高く、ほぼ希望通りの時間帯に灌漑が行われている。又水管理に要する労働が大巾に減少したとしている。調整池の設計容量としては3時間分でやや過少、6時間分で十分との評価である。消流雪などの多目的利用も行なわれつつある。 2水収支調査 頼成、安川、井口、庄川の各水田調整池に水位計を設置し、5月から9月の間の観測を行った。この解析は次年度に行なう。
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