農業生産に用いられる堆肥は、有機質に富み安価であり、それによる生産物は高額商品として高く評価されいる。しかし、作業面からみると、悪臭もありその取り扱いが容易でなく、マニュアスプレッダ等で農地へ全面散布されたのち、プラウやロ-タリ等で土中に入れられている。この方法は、悪臭を周囲にさらすこと、散布後雨水等により堆肥が流出し、周囲が不浄になることなどの環境汚染問題を生じる。これらの問題を解決するには、堆肥を散布しないで、運搬と同時に土中に埋没させることであり、この作業を行う機械の試作を行った。今回試作した作業機は、マニュアスプレッダの堆肥散布部を改造したもので、溝開き、堆肥投入、覆土の三つの作業を同時に行なうことができるようにした。すなはち、散布部を取り除いて、その部分に堆肥埋め込む装置を取付けた。そして、この作業機を反対向きにして、堆肥を床チェ-ンコンベヤで進行方向に移動させて、作業機前方の部分で堆肥を溝に投入するようにした。 その結果、堆肥投入量の制御は、床チェ-ン速度とオ-ガ軸速度の組合わせで行うことである。その方法は、オ-ガ部へ堆肥を過剰に搬送しない程度にオ-ガの充満率を上げるように、床チェ-ン速度をONーOFF制御によって堆肥の搬送量を調節する。そして、オ-ガ部では、横送りオ-ガ上の堆肥がスム-ズに流れて、縦送りオ-ガにより完全に排出できるように、各オ-ガ軸の回転速度をマッチングさせることである。 圃場実験では、耕伝整地後、堆肥の埋め込み実験を行った。その結果、比較的均一に堆肥を投入することができた。また、溝断面の計測より、排出された土の30〜50%を覆土することができた。
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