北海道のような積雪寒冷地の草地造成は、その気象環境から一般に5月以降8月下旬までとされている。しかしこの時期は他の多くの農作業もあり、これを緩和する一方策として初冬季の播種により発芽を極力抑制する手段を講じ、翌春の出芽条件が整う時期に出芽させ定着させる方法が考えられる。本研究ではこれと関係の深い気象条件と牧草の出芽・定着およひ生長・収量を調べるとともに翌春におけるマメ科牧草の追播時期について検討した。 1)定着率は有意差はないものの、初冬季播種区が春季区を上回った。 2)草丈、乾物重は定着が早かったため初冬季播種区が春季区を終始上回り収量も高かった。しかし春季区の葉令増加速度は著しかった。 3)乾物増加速度(CGR)は純同化率(NAR)に有利な春季区が速い結果となった。 4)両季牧草地における雑草個体率と雑草乾物率の差異から、これが収量に最も影響を及ぼしているものと考えられた。即ち、牧草と雑草の出芽期の差から雑草率に差が生じ、春季播種された牧草地内の牧草密度の低下が生じ、よって収量に多くの差が出たものと考えられた。つまり初冬季播種法は春季播種法に比べ雑草の防除効果もあると考えられた。 5)イネ科牧草初冬季播種によるマメ科牧草追播適期は4月中旬か下旬にかけてであり、最も安定的な混播草地の実現が可能となる。 6)十勝管内の初冬季播種実践農家の実態を調査した結果、初冬季にイネ科のみ播種する事例が多く、良好な成績を得ている。一部傾斜地や風当りの強い事例で問題点を残していた。
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