研究概要 |
本研究はBos indicusに属するブラ-マン種の遺伝的特性がわが国の肉牛生産にとって有効か否かを検討するために行われた。 1.ブラ-マン種(Z)♂×黒毛和種(B)、日本短角種(N)およびホルスタイン種(H)♀のF_1およびBB雌牛の放牧時における牧草利用性を調べた。F_1の代謝体重当りの食草量(1日1頭当り)はBBのそれを上回った。体重当りのNDFおよびTDN摂取量はいずれもF_1がBBよりも多かった。このことは放牧前後の牧草のNDFおよびTDN含有率の差からも裏付けられた。放牧行動においてF_1群とBB群との間には差は見られなかった。 2.哺乳前後の体重差法から推定した哺乳量において、ZH、ZNおよびNNは同程度で最も多かったが、BBは最も少なく、ZBおよびBNはそれらの中間であった。これは父牛品種(Z)よりも母牛品種による効果の方が大きいことを示すものであった。子牛の増体量は母牛の哺乳量にほぼ対応しており、ZH、ZNおよびNNの産子は最も大きく、BBの産子は最も小さく、ZBの産子はそれらの中間であった。 3.1/4Z(BB♂×ZB,ZN、ZH♀)とBBの子牛を用い、放牧時におけるそれらの増体量、食草量および放牧行動の調査と牧草の各成分消化率を測定した。1/4ZはBBよりも増体がよく、代謝体重当りの食草量でも多かった。乾物および蛋白質消化率はいずれも両種とも同程度であったが、粗繊維消化率はBBよりも1/4Zが高い傾向を示した。また放牧行動において1/4ZがBBよりも食草時間が長い傾向を示した。これらの結果から1/4ZはBBよりも摂取栄養量が多いことが示された。 以上の結果は、(1)1/2ブラ-マン交雑種が和牛品種、特に黒毛和種よりも放牧適性(哺育能力を含む)が優れていること、(2)1/4交雑種においても、なおこの特性が認められることを示している。
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