研究概要 |
6PGDアイソザイムのA,C2型によるラットのAとC系統について、繁殖能力(産子数)に有意差がみられた。そこで6PGDアイソザイムと繁殖性との関係を明確にするために研究し、下記の成績を得た。 1)AとC2系統間の繁殖能力の差がどの時点でおこるのかを明らかにするために性成熟、排卵数、受精率、初期発生率、着床以降、妊娠21日目、産子数について調べた結果、性成熟、排卵数受精率では両者間で全く差がなく、胚盤胞形成率でA系統は有意に低いこと、しかし、着床後、妊娠21日目でも全く有意差がみられなかった。 2)2系統間における各アイソザイム関与率を明確にするために6PGDの3つの遺伝子系A,AC,Cについて正逆、相互交配を行った。その結果、妊娠の時間によって母性効果が異なり、繁殖能力と6PGDアイソザイムとの関係は一義的なものでなく、その関与は発生段階毎に異なることが明らかになった。 3)両アイソザイムの発現の時間を卵子、初期胚発生や胚について調べるために、まず6PGD活性の測定法と測定後の胚発生を見る方法を開発した。従来の6PGD測定法では測定後の胚発生をみることができないので、新鮮卵子で活性を測定でき、しかもその後の発生が可能なように原法を改良し、測定可能にした。その結果、6PGD活性測定後、70%以上の卵子が発生した。1,2,細胞期では両系統の卵子の6PGD活性は差がないが、8細胞期以降ではA系統で6PGD活性が増加し、胚盤胞期で高い活性を示した。他方、C系統では8細胞以降、逆に活性が低下した。この事はACのアイソザイムは発生の時期によって活性を示す時期が異なる。また8細胞期以降胚盤胞形成時のA,C活性比が異なることがAの着床前の胚死を誘起すことが示唆された。
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