本年度は、ランドレ-ス種豚の後代検定成績を分析し、検定結果に対する要因の補正さらに、種雄豚の遺伝的評価法としてのBLUP(Best Linear Unbiased Prediction; 最良線形不偏予測)法の利用について検討を加えた成果である。山形県養豚試験場でなされた、後代検定成績(デ-タ)を用い、選抜の6形質(1日増体重、飼料要求率、背腰長II、ロ-ス断面積、ハムの割合、背脂肪の厚さ)および、それらの総合得点について、年次、季節、性別による要因について最小自乗分析を行った。その結果、性別で5、年次で4そして、季節で2、形質において、有意の差が認められた。したがって、これらの要因を補正することにより、補正前の種雄の評価が変化し、後代検定成績の種雄の検定精度が向上されることを明らかにした。 次に、BLUP法により種雄豚の評価を行った。BLUP法で使用したモデルは、種雄間の血縁関係を考慮しないモデル(MM)、血縁を考慮したモデル(MMR)および対象として最小自乗平均を使用したモデルである。各モデルでの予測誤差分散は、対象のLSMと比較してBLUPの二つのモデルで減少が認められた。MMとMMRとの間には、その差が認められなかった。人工授精の普及等の問題が残されているが、BLUP法による種雄豚評価が、遺伝率の低い形質や現場での豚の改良にとって、有用性がある事を考察した。 次年度は、人工授精の現場の実態を調査し、現場のデ-タを使用した種雄豚評価を行い現場でのBLUP法利用による改良方法を検討する。
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