本年度は、(1)前年度に引き続き、BLUP法による種雄豚の評価と従来方法との比較を行う(2)人工授精により生まれた子供の成績を用いBLUP法による種雄豚評価を行う事をもくてきとした。しかし、(2)については人工授精によってえられた子供の数が不十分なため断念した。 以下に本年度の概要を示す。遺伝率推定値では各形質とも高い値を示した。種雄豚頭数は23頭の記録を最小自乗法での結果により補正し、BLUP法により種雄豚の評価を行った。評価に使用したモデルは、平均値を使用したモデル(LSM)、種雄豚間の血縁関係を考慮しないモデル(MM)、および、血縁関係を考慮した(MMR)の3種類で行った。 各形質の判定区分による評価、および、評価値により導かれた順位では、遺伝率の低い形質ほど各モデル間での変動が認められた。種雄豚間の平均血縁係数は、最小自乗法で用いた76頭の種雄豚でま9.8%、種雄豚評価での23頭では9.0%と高く、種雄豚評価において血縁関係を考慮する必要性が示唆された。しかし、MMモデルとMMRモデル間の相関係数は、単純相関と順位相関とも0.96以上と高い値を示した。さらに、種雄豚評価の精度の指標として各モデルの予測誤差分散を用いて検討した。種雄豚間の血縁を考慮することによる予測誤差分散の減少は認められなかった。しかし、LSMと比較して、MMおよびMMRでの予測誤差分散には減少が認められており、精度的には、BLUP法は高い評価値を示すことが確認された。このことは、特に遺伝率の低い形質について有効であり今後の具体的利用が期待される。
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