1.明治以前の日本での最大の西洋百科事典の和訳書であるショメ-ル『厚生新編』の中の家畜(馬、驢、山羊、水牛、猟犬、猫、駱駝、羊、ラム、馴鹿など)、家禽・飼鳥(アヒル、鵞、七面鳥、雉、孔雀、カナリヤなど)、畜産物等(乳、バタ-、チ-ズ、獣皮、膠、鮓答、肉料理)について詳細に調査し、更に、シヤルモ(Chalmot)のオランダ原本及び江戸時代の本草書などとの比較を行った。例えば『厚生新編』の福禄獣と天狗はオランダ原書ではzebra(シマウマ)とangelus(天使)であることが判明した。これらの成果は論文として、信州大学農学部紀要第27巻115ー132頁(1990)に掲載してある。 2.我国では、七面鳥のことを吐綬鶏、ホロホロ鳥を珠鶏と記した書物や資料がある。江戸時代以降の百以上の古書や古資料について詳細に調査した。その結果、江戸時代には七面鳥のことをカラクン鳥、唐国鳥と記した文献もあった。これは七面鳥のオランダ語Kalkoenから来た言葉で、日本語の発音から唐国鳥という漢字まで作成されていることが判明した。又、七面鳥とホロホロ鳥が江戸時代に渡来していることを確認できた。これらの成果は論文として在来家畜研究会報告第13号133ー143頁(1990)に掲載してある。 3.3月29日の日本畜産学会で、図書として、江戸時代の『毛詩品物攷』(1785)、『相馬略』(1867)、明治時代の『養豚説略』(1870)、『斯氏農業問答』(1875)、『斯氏農書』(1876)、『新撰農書』(1886)、『農用家畜論』(1882)(以上畜産学書):『泰西訓蒙図解』(1871)、『博物新編訳解』(1874)、『動物学初編』(1875)、『薬用動物篇』(1876)、『通常動物』(1882)、『小学動物教科書』(1882)、『応用動物学』(1883)、(以上動物学書):雑誌として「牧畜雑誌」(1889年創刊)と「東京家禽雑誌」(1903ー5)の中の家畜・家禽、特に図と表に注目して展示報告をした。
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