研究概要 |
我々はマウスにおいて、γ-アミノ酪酸(GABA)系薬物投与によってサ-カディアンリズムの位相が変化する系統(SK,DBA)と、全く変化を示さない系統(C57BL etc)を見出した。本研究では、これらの系統差が、視交叉上核(SCN)の機能的差異に基づくか否かを薬物の脳内微量注入法を用いて調べ、合わせてSCNペ-スメ-カ-説を検討するためにSCN移植法が適当であるか否かを調べた。 1.SCN破壊が行動リズムに及ぼす影響 SCNの破壊によって、回転輪活動のリズムが消失する事を示した。 2.ぺントバルビタ-ルにする位相変位は行動の変化により生じるか? GABAの作用を増強する働きのあるペントバルビタ-ルは、投与時刻に応じて行動リズムの位相を前進ないし後退させるが、この位相変位が薬物投与後の急激な活動の上昇によって生じるか否かをDBAマウスを使って検討した。その結果、薬物投与による位相変位は行動を介していないことが示された。 3.SCNあるいは外側膝状体へのペントバルビタ-ル微量注入による行動リズムへの影響 ペントバルビタ-ルをDBAマウスのSCNあるいは外側膝状体へ微量注入し、リズムの位相変化を調べた。その結果、SCNへの注入では変化が生じなかったが、外側膝状体への注入例で位相変化を示すものがみられた。以上の結果から、ペントバルビタ-ルはサ-カディアン機構に作用していると思われるが、リズムのペ-スメ-カ-に直接作用しているのではないと考えられた。従って、今後は、ペ-スメ-カ-に直接作用していると考えられるメラトニンのリズムへの影響などを含め検討することとした。
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