発生段階の異なるマウスの各種リンパ・造血系臓器からインタ-ロイキン(1L)3および1L2を用いた培養システムにより以下にあげるLGL株の樹立に成功した。 1)LFD(胎児肝由来):CD3^-CD4^-CD8^-TCR^- 2)FTD(胎児胸腺由来):CD3^+CD4^-CD8^+TCR^+ 3)SED(新生児脾臓由来):CD3^+CD4^-CD8^-TCR^+ 4)SPB(成獣脾臓由来):CD3^+CD4^-CD8^-TCR^+。 胎児肝細胞から樹立したLFD細胞株(LFD17、LFD19)は、4つのTCR鎖(α、β、γ、δ)遺伝子ともすべて胎児型であったが、その発現をフ-ザンハイブリダイゼ-ションにより解析したところ、β鎖遺伝子の発現が認められた。このことは、これらの細胞株はすでにT細胞系列へのコミットメントを受けているものと思われる。また、成獣脾細胞より樹立したLGL株の1つであるSPB-T3細胞は、δ鎖TCR遺伝子は胎児型であるのにもかかわらず、αおよびβ鎖遺伝子とも再構成し発現していた。このことは、これまで胸腺や末梢T細胞の解析から言われていた様に、必ずしもαβ鎖遺伝子の再構成はγδ鎖遺伝子の再構成に引き続き起こるのではなく、まったく独立に再構成されうることを明らかとなった。一方、これらのLGL株はすべて1L2依存性増殖を示したが、その細胞表面に発現・機能する1L2レセプタ-について解析を行なった。その結果、LFD細胞株は他のLGL株やT細胞とは異なり、中程度の親和性をもつ1L2レセプタ-1種類のみを発現していた。 以上の結果から、1L3@1L2培養システムにより樹立されるLGL株は、本来そこに存在しているT細胞の分化段階を反映していることが明かとなった。このことはこの培養システムおよび樹立されたLGL株は、T細胞の初期分化を探る上で有力な手段(道具)となりうるものと思われる。 TCR:T細胞レセプタ-
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