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1989 年度 実績報告書

食肉動物のパルボウイルスに関するウイルス学・臨床病理学的比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 01560325
研究機関鹿児島大学

研究代表者

望月 雅美  鹿児島大学, 農学部, 助教授 (90157834)

研究分担者 清水 孜  鹿児島大学, 農学部, 教授 (50072921)
キーワードネコパルボウイルス / イヌパルボウイルス / ミンク腸炎ウイルス / ネコ汎白血球減少症 / モノクロ-ナル抗体 / 制限酵素切断 / ネコ / イヌ
研究概要

1)わが国の代表株であるスコ汎白血球減少症ウイルス(FPLV)Tu1株、イヌパルボウイルス(CPV)Cp49株、およびミンク腸炎ウイルス(MEV)Abashiri株を用いてウイルス構造蛋白の比較分析を実施したところ、ほとんど同一の、三種のポリペプチドから構成されていた。
2)FPLV Tu1株に対するモノクロ-ナル抗体(mAb)を作出し、わが国のイヌ、ネコ、ミンク由来のパルボウイルスの抗原解析を実施したところ、FPLV株、HEV株および1980年以前に分離したCPV株間の抗原性には差が認められなかった。例外として、パルボウイルスに共通する抗原決定基の一つを欠除する変異FPLV株が検出された。一方、1980年以降に分離されたCPV野外流行株は明らかにそれ以前のCPV分離株とは抗原性が変化していることが、作出したmAbによって示された。
3)中華人民共和国東北地方で飼育されているミンクとタヌキの発症例からウイルス検出を試みたところ、ミンク全例からMEVが回収された。これらはわが国のMEV株とは抗原性が異なり、1980年以降流行しているCPVと類似していたが、DNA解析によりCPVとは認められなかった。
4)mAbとDNA制限酵素切断解析により、ネコ由来株中にCPVと断定してもさしつかえないウイルス株が検出された。これは予備的ではあるが、イヌからネコへの種を超えたパルボウイルスの伝播が実際におきている可能性を示唆するもので今後の検討を要する。
5)現在、さらに比較検討中であるが、想像以上に(これまでの知見に反するほど)、食肉動物に感染するネコパルボウイルス亜種ウイルス群は抗原性、ゲノムともに多様性にとんでいることが容易に推察できる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Mochizuki,M.,Konishi,S.,Ajiki,M.,& Akaboshi,T.: "Comparison of feline parvirus subepecific strains using monoclonal antibodies against a felive panleukoperia virus." Japanese Journal of Veterinary Science. 51. 264-272 (1989)

  • [文献書誌] Mochizuki,M.,Kawabata,H.,& Wang Jin Sheng: "Antigenic and genomic comparisons of some feline parvirus subspecies srains" Journal of Veterinary Medicine,B.37. (1990)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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