研究課題/領域番号 |
01560328
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
梁川 良 酪農学園大学, 酪農学部, 教授 (30001514)
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研究分担者 |
平棟 孝志 酪農学園大学, 酪農学部, 教授 (70156694)
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キーワード | 牛乳房炎 / 乳頭上皮細胞 / 乳頭管粘膜上皮細胞 / Corynebacterium bovis / 感染開始機構 / ブドウ球菌 / 付着 |
研究概要 |
1 実験に用いるための菌株として、牛乳房炎原因菌として最も頻度の高いブドウ球菌から231株を、また乳房内常在菌であるが時に乳房炎を起こすことで知られるCorynebacterium bovisからCH51株を選んだ。これらはいずれも最近乳房炎牛から分離されたものである。 2 屠場で毎回数頭の牛から新鮮な乳房材料を合計10数分房入手し、ブラッシングによって乳頭上皮及び乳房管粘膜上皮細胞を得た。適当かつ十分な数の細胞を得るために予備実験を重ねた。 3 菌と細胞をリン酸緩衝食塩液の中で混合して接触させ、一定時間後に洗浄してスメアをつくり染色して顕微鏡下で細胞付着菌数を数えた。この際、菌対細胞の割合、洗浄回数、接触時間などの条件を検討した。 4 研究の結果、(1)ブドウ球菌は乳頭上皮細胞に細胞あたり50個以上付着し、また乳頭管粘膜上皮細胞には細胞あたりその約半数の20数個が付着した。このように、ブドウ球菌は乳頭上皮細胞に最もよく付着したが、さらに乳頭管粘膜上皮細胞にもよく付着したことから、ブトウ球菌による牛乳房炎感染開始の機構としては、外界にいるブドウ球菌がまず乳頭上皮に付着し、ついで乳孔をとおって乳頭管粘膜上皮細胞に付着するものと考えられる。したがって両細胞への接着が感染成立に極めて重要であろう。この結果は牛乳房炎の予防にも重要な示唆をあたえるであろう。(2)C.bovisについては、実験条件の検討になお時間を要しているが、これまでの成績では本菌の両細胞への付着はブドウ球菌に比べるとかなり低い。 5 免疫血清による接着の阻止の及び乳清中におけるこれらの菌に対する抗体の有無は目下検討中である。
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