加重力環境下の実験動物として妊娠後期(妊娠13〜15日)のゴ-ルデン・ハムスタ-およびその胎仔、生後5、10、20日、1、3、8および14ヵ月のハムスタ-を使用した。それぞれの実験群には無処置の対照群を設けた。対照群と実験群のハムスタ-上皮小体を摘出し、グルタ-ルアルデヒドとオスミウム酸の混合液にて固定し電顕標本を作成した。電顕写真による形態計測をおこない、細胞小器官の変化を定量的に分析した。 結果と考察:測定しえたすべてのハムスタ-の血清カルシウム値に変化は見られない。 妊娠、胎仔、生後5、10、20日、1および3ヵ月のハムスタ-ではゴルジ装置は対照群に比して有意に増加するが、粗面小胞体、空胞様小体、水解小体および分泌果粒においては有意差は見られない。しかし、生後8および14ヵ月のハムスタ-ではゴルジ装置を含む計測したすべての細胞小器官において、対照群との間に有意差は見られない。すなわち、加重力により妊娠および胎仔から幼若そして成熟ハムスタ-上皮小体主細胞において、分泌果粒完成の場とされているゴルジ装置の発達することが明らかになった。加重力が母ハムスタ-のみならず胎仔期から成熟期にいたるまでのハムスタ-上皮小体に影響するが、老齢期においては影響しないことは極めて興味あることである。現在、こうした現象の解明を考えている。
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