1.線維芽細胞を長期間培養し、培養細胞をシャ-レ上で固定・包埋し、超薄切片の透過電顕像を観察した。活性持続型アスコルビン酸(AsP)存在下で培養したものは、AsP非存在下に比べ細胞層も細胞外基質も増えていた。細胞外基質には周期性のあるコラ-ゲン細線維の存在が確認された。しかし、高倍率像の画像解析によっても、周期内染色パタ-ンの方向性の有無の判定や、細線維を構成するコラ-ゲンα鎖の同定を行なうに耐える像はまだ得られていない。2.培養細胞層の酢酸抽出液(粗コラ-ゲン標品)をATP酢酸溶液に透析しコラ-ゲン分子束(SLS)を作らせ、電顕観察した。AsP存在下1か月培養細胞の抽出物で十分きれいな(分析に耐える)SLS像が観察された。プロペプチドの存在は確認できないので、この培養条件でプロセッシングは正常に進行していると思われる。培養上清中のコラ-ゲンは確認できていない。3.骨形成不全症患者由来線維芽細胞の作るコラ-ゲンのSLS試料中には、正常I型コラ-ゲンのSLSに加えて、一端(C端)は正常SLSと同様の横紋を示し、途中で束が広がっているものが観察され、これは分子の異常を検出する方法となりうると思われる。4.上記粗抽出コラ-ゲンを生理的条件におき、細線維を形成させた。電顕観察により、十分分析に耐える、周期性と方向性をもった天然型のコラ-ゲン細線維がin vitroでは形成できることが確認された。5.コラ-ゲン細線維やSLSの電顕写真の分析のために、画像解析装置に入力したデ-タをさらにコンピュ-タ-で平均化し、画像出力するソフトを開発した。これにより、さきに開発した、一次構造からのシミュレ-ション・パタ-ンとの数量的・視覚的比較が容易になった。
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