1.ステロイドホルモンの合成機転を形態学的に明らかにする研究の一環として、プロゲステロンから170Hープロゲステロンを経てアンドロステンジオンを合成する17αー水酸化酵素/C_<17>ーC_<20>リア-ゼの局在を光顕レベルの免疫組織化学で、妊馬血清性腺刺激ホルモン(PMSG)を投与して48時間後の未熟ラット(生後25日令)の卵巣について検索したところ、内卵胞膜細胞、間質腺細胞が陽性を呈し、果粒層細胞、黄体細胞、卵細胞、腹膜上皮細胞などは陰性であった。内卵胞膜細胞や間質腺細胞にはコレステロ-ル側鎖切断酵素や17βー水酸基脱水素酵素も存在することが知られているので、これらが卵巣においてコレステロ-ルからエストステロンまでを合成する主要な細胞であることが明らかとなった。 2.未熟ラットにPMSGを投与して48時間後にヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を与え、人工的に卵胞の成熟ならびに排卵、さらに黄体形成を行わせ、この時の17αー水酸化酵素/C_<17>ーC_<20>リア-ゼの存在を光顕レベルの免疫組織化学で検索したところ、PMSG投与後48時間ではほとんどすべての内卵胞膜細胞および間質腺細胞が陽性を呈するのに対し、hCG投与後6時間では少数の内卵胞膜細胞が陽性を示すのみとなり、hCG投与後12時間後の排卵の起こる頃には全く陰性となったこの時、大きい卵胞の果粒層細胞はアロマタ-ゼの免疫組織化学陽性であるので、卵巣において排卵前にエストロゲン産生が低下し、かわりにプロゲステロン産生が優勢になるのはこの17αー水酸化酵素/C17ーC20リア-ゼが何らかのメカニズムで内卵胞膜細胞や間質腺細胞から失われるためと考えられる。
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