1.卵巣における卵胞の発育と、アロマタ-ゼの消長との関係をみるために、生後3週齢の未熟なラットにPMSG(妊馬血清性ゴナドトロピン)とhCG(ヒト絨毛ゴナドトロピン)を投与して、アロマタ-ゼの局在を検索した。その結果、PMSG投与12時間後に卵胞腔をもった大きい卵胞が出現し、アロマタ-ゼはその卵胞の果粒層細胞に弱陽性であること、hCGを投与して0ー9時間では、卵胞腔をもった卵胞に加えてさらに大きな成熟卵胞が出現し、その果粒層細胞が強い陽性を呈すること、hCGを投与して12時間たつと排卵が起こり、排卵後の果粒層細胞は急速に弱陽性一陰性になることがわかった。2.未熟ラットにPMSGとhCGを与え、人工的に卵胞の成熟ならびに排卵、さらに黄体形成を行なわせ、この時の17αー水酸化酵素/C17ーC20切断酵素の存在を光顕レベルの免疫組織化学で検索したところ、PMSG投与後48時間ではほとんどすべての内卵胞膜細胞および間質腺細胞が陽性を呈するのに対し、hCG投与後6時間では少数の内卵胞膜細胞が陽性を示すのみとなり、hCG投与12時間後の排卵の起こる頃には全く陰性となった。この時、大きい卵胞の果粒層細胞はアロマタ-ゼの免疫組織化学陽性であるので、卵巣において排卵前にエストロゲン産生が低下し、かわりにプロゲステロン産生が優勢になるのはこの17αー水酸化酵素/C17ーC20リア-ゼが何らかのメカニズムで内卵胞膜細胞や間質腺細胞から失なわれるためと考えられる。3.ウマの精巣について、アロマタ-ゼの免疫組織化学をおこなったところ、ライディッヒ細胞が陽性を示した。精巣では、ライディッヒ細胞がテストステロンのみならずエストロゲンも作っていることになる。
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