研究課題/領域番号 |
01570016
|
研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
金子 勝治 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (10049801)
|
研究分担者 |
村田 栄子 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (40200290)
藤田 恵子 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (80173425)
穐田 真澄 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (60105905)
|
キーワード | 肺気腫 / 結合組織 / Tightーskinマウス / 弾性線維 / 肺 / 大動脈 |
研究概要 |
弾性線維は結合組織の線維成分として、肺あるいは大動脈などの特に弾性を必要とする器官において重要な役割を果たしている。弾性線維の形成異常は肺気腫の成因と深い関係を持っているといわれ、肺気腫自然発症の動物モデルであるTightーskin(Tsk/+)マウスを用いて、弾性線維の異常と肺気腫の関連性について検討してきた。今回はさらに、弾性線維の形成異常を惹起する架橋阻害剤であるβーアミノプロピオニトリル(BAPN)を投与しTsk/+マウスと比較した。 材料は妊娠ddyマウスを、BAPNを含む飼料で分娩後飼育し、3週で離乳その後親マウスと同じ飼料で2週間飼育した幼若マウスの肺ならびに大道脈を用いた。材料はパラホルムアルデヒドで固定後、弾性線維の構成蛋白であるエラスチンに対する抗体によって免疫反応を行ない、電顕的に観察を行なった。 BAPN投与マウスにおいては、肺に存在する弾性線維にはTsk/+マウスで見られたような弾性線維の断裂などの異常は認められず、また、肺の気腫化の程度も軽く、肺胞壁の肥厚を若干認める程度で、肺胞壁の拡張は顕著ではなかった。BAPN投与マウスにおいては、Tsk/+マウスと異なり、弾性線維の構成成分の一つであるマイクロフィブリルには異常が認められず、弾性線維の形成異常はマイクロフィブリルの明瞭でない大動脈の中膜の弾性線維に強く認められ、弾性線維の断裂、膨化を引き起こしていた。 観察の結果、マイクロフィブリルの異常は弾性線維の断裂と関連し、マイクロフィブリルの質的ならびに量的な異常が弾性線維の形態変化あるいは変性、さらには肺の構造的変化をも引き起こすのではないかと考えられた。
|