分泌顆粒蛋白質の合成、細胞内輸送の検索

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01570018
• 研究機関: 慶応義塾大学
• 研究代表者: 山下 修二 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90050666)
• 研究分担者: 塩沢 昌英 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (50170840) ; 相磯 貞和 慶応義塾大学, 医学部, 講師 (60138013) ; 安田 健次郎 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (90050327)
• キーワード: 分泌顆粒膜共通抗原 / モノクロナ-ル抗体 / 免疫組織化学 / 分泌顆粒膜のリサイクリング / 免疫電顕 / ラット

研究概要

ラット耳下腺分泌顆粒膜を抗原としてモノクロ-ナ-ル抗体を作製し、そ分子量98ー63KdのN結合型糖鎖をもつ糖蛋白質と反応する1種類のモノクロナ-ル抗体(IgGl)を得た。
以下の外分泌腺細胞、内分泌腺細胞の分泌顆粒が免疫染色され、ラットにおいても分泌顆粒膜の共通抗原が存在すことが証明された。a)外分泌腺細胞:唾液腺外分泌腺細胞、膵臓外分泌腺細胞、胃主細胞、腸パネ-ト細胞。b)内分泌腺細胞:甲状腺傍〓胞細胞、下垂体前葉細胞、副腎髄質細胞、消化管のEC細胞。c)培養細胞:ARー42J,ARー1P(ラット膵臓外分泌腺腫瘍細胞)、GH3(ラット下垂体前葉腫瘍細胞)。
免疫電顕法により分泌顆粒膜共通抗原は耳下腺、膵臓外分泌腺細胞の分泌顆粒膜に沿って局在することが証明された。ゴルジ層板は反応陰性であったがゴルジ小胞は反応陽性であった。顆粒状および小管状のライソゾ-ムは強い陽性反応を示した。弱い反応が管腔側の細胞膜に認められた。ARー42J細胞においては、分泌顆粒膜に沿って反応が存在した。さらにintactな分泌顆粒のトリプシンによる消化実験、TritonXー114による分画により分泌顆粒膜共通抗原は膜結合蛋白であり分泌顆粒膜の内腔側に局在することが証明された。
ARー42Jラット膵臓外分泌腺腫瘍細胞を用いたペルオキシダ-ゼ標識抗体の取り込みの実験においては、ペルオキシダ-ゼ標識抗体は直ちに被覆小胞内に取り込まれ、15分以内にエンドゾ-ム内に入った。更に標識抗体はトランスゴルジネットワ-クおよびライソゾ-ム内に移動した。6ー9時間後、一部の分泌顆粒内に標識抗体が認められた。以上の結果により分泌顆粒膜共通抗原が分泌後、再利用されていることが明らかになった。

研究成果

• [文献書誌] JianーZhao Niu,Shuji Yamashita,Kenjiro Yasuda: "Immunohistochemical study of rーglutamyl transpeptidase during the development and maturation of rat kidney" Acta histochem.cytochem.23. 149-163 (1990)
• [文献書誌] Kenjiro Yasuda,Masahide Shiozawa,Sadakazu Aiso,Shozo Taniguci,S.Yamashita: "Distribution of gammaーglutamyl traspeptidase in human pancreas:Immunohistochemical study with a monoclonal antibody." J.Histochem.Cytochem.38. 339-350 (1990)
• [文献書誌] M.Shiozawa,Y.Hiraoka,K.Yasuda,T.Imamura,D.SakaMoto,N.Taniguchi et al.: "Synthesis of human gammaーglutamyl transpeptidase(GGT)during the fetal development of liver." Gene. 87. 299-303 (1990)
• [文献書誌] Kenjiro Yasuda,Masahide Shiozawa,Shuji Yamashita,Sadakazu Aiso: "Localization of rーglutamyl transpeptidase in human sweat glands:An immunohistochemical study using a monoclonal antibody." J.Histochem.Cytochem.38. 1433-1444 (1990)
• [文献書誌] Shuji Yamashita,R.R.Newhold,J.A.McLachlan,K.S.Korach: "The role of the estrogen receptor in uterine epithelial proliferation and cytodiffeerentiation in neonatal mice." Endocrinology. 127. 2456-2463 (1990)
• [文献書誌] Shuji Yamashita,Kenjiro Yasuda: "Monoclonal antibody to a common antigen of secretory granule membranes:Intracellular localization,and recycling of the antigen after secretion." J.Histochem.Cytochem.
• [文献書誌] 山下 修二、塩沢 昌英、安田 健次郎: "急速凍結置換固定法:免疫電顕への応用 組織細胞化学1990(分担執筆)分担(25ー34)" 学際企画, (1990)