研究課題/領域番号 |
01570021
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
小杉 一夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30056957)
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研究分担者 |
国府田 稔 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (20186620)
早川 敏之 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10057036)
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キーワード | 解剖学教育 / 局所的連続剖出標本 / 人体の変異 / 実写像と描画像 / X線撮影像 / 頭頚部 / 体幹 / 四肢 |
研究概要 |
本研究は実習用遺体を連続的、かつ精密に解剖し、その過程で得られた撮影像を元にした実写像と線画像の合成スライド(以下、合成スライドと略)を解剖学教育に還元することを目的としている。すなわち、合成スライドを実習の前後、あるいは卒後研修で提示することにより、より良い教育的効果を得ることを企図するものである。本年度は男性遺体における精密解剖を主に行なった。具体的な進行手順は次の通りである。先ず注入時に動脈内に色素と造影剤を入れ、身体各所のX線撮影を行ない、全身の動脈のX線合成スライドを作製した。次に、剖出は全身を頭頚部、胸腹部、背部、上肢部、下肢部にわけて行なった。剖出手順は学生実習用マニュアルに従って進行した。また出来るだけ学生の実習中に提示するように努めた。その結果、学生が知識としての解剖学だけでなく研究としての解剖学に興味を示した。これは予期しない教育効果である。また、我々は1遺体を連続して系統的に解剖したことにより、調査を行なう適切な時期を把握することが出来た。これを踏まえて、今後の本研究の展開を次のように行なうことを計画している。 (1)学生の実習過程を再検討し、調査項目の提示時期を選択する。 (2)過去に報告された人体の形態変異を整理し、予め変異が出現する可能性を示唆する。 (3)得られた結果を集積し、学生実習に還元する。 (4)出現した変異の合成スライドを作製する。 (5)女性遺体についても男性遺体と同様に精密かつ連続的に解剖し、合成スライドを作製する。 以上より、現在はまだ途中ではあるが、副産物として系統的に解剖を行ない、調査を行なう時期を把握出来たことは、今後の学生への解剖学教育において大きな財産により得たものと思われる。
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