研究概要 |
1.モルモット下垂体隆起部では3種類のコロイドを含む小濾胞が観察される。すなわち濾胞細胞によって形成される典型的な濾胞、空胞状物質(膨化した粗面小胞体の槽)で充満した細胞によって形成される濾胞、および性腺刺激ホルモン(LHとFSH)分泌細胞によって形成される濾胞である。隆起部では濾胞は生後5日令の幼若動物にも存在するが、年令と共に増加し、24ケ月令以上のモルモットでは5日令の10倍以上に増加した。 2.モルモット下垂体前葉にもコロイドを含む小濾胞が存在する。隆起部とは異なり幼若動物には全く存在せず、6ケ月令から形成され始め、24ケ月令以上の動物では著しく多くの濾胞が存在する。前葉における濾胞の形成は老化現象によることを示した。前葉では大部分がSー100蛋白の免疫活性を示す濾胞細胞によって濾胞が形成されるが、GH細胞、ACTH細胞、LHおよび FSH細胞、TSH細胞も濾胞腔のコロイドと直接接する像を得た。老令動物ではGH細胞の合胞体が観察され、合胞体の細胞質内にはコロイド状物質を貯える小腔が存在した。 3.イヌ甲状腺をコラゲナ-ゼで処理し細胞を単離後マウスに免疫してC細胞の分泌顆粒に特異的に反応するモノクロナ-ル抗体を作製した。Immunoblottingを行うとこの抗体は分子量79,000のbandに特異的に反応した。またlectinーdigoxigenin conjugatesを用いて糖の存在を調べると、このbandはGalβ(1ー4)GlcNAcまたはGlcNAcを認識するDaturastramonium agglutinin(DSA)で染色された。イヌC細胞はDSAーdigoxigenin conjugateで染色され、Nーacetyllactosamineで吸収するとその反応は完全に消失した。イヌC細胞は糖蛋白を分泌し、作製した抗体はこの糖蛋白に反応すると考えられる。イヌやモルモットではC細胞濾胞が存在するので、この糖蛋白と濾胞形成の関係を検索中である。
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