研究課題/領域番号 |
01570024
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
井上 芳郎 北海道大学, 医学部, 教授 (20051584)
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研究分担者 |
高山 千利 北海道大学, 医学部, 助手 (60197217)
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キーワード | Dystonic mouse / IP_3リセプタ蛋白質 / P_<400>蛋白質 / Wriggle Mouse Sagami / 神経疾患モデルマウス / グルタミン酸脱炭素酵素 / 小脳 / 筋緊張症モデルマウス |
研究概要 |
Wriggle Mouse Sagami(以後WMSとする)は1984年に大村実験動物研究所において分離された筋緊張とのたうちまわるような異常行動を伴う新しい常染色体劣勢遺伝型の神経奇形マウスでしる。その症状および一般的な脳の細胞構築や髄鞘構築に著変が無い事からdystonia musculorum deformansのモデルとなり得る可能性がある。本研究では形態学的に小脳と海馬に次のような異常を明らかにした。 (1)脊髄の胸髄核、網様体核、オリ-ブ核縫線核などから小脳皮質へ入る線維系はHRP標識法で見る限り正常に保たれていた。しかし、IP_3リセプタ蛋白質P_<400>の免疫組織化学ではプルキンエ細胞の樹状突起の形態に異常があり、電顕によって平行線維の萎縮・脱落、プルキンエ細胞樹状突起の棘状突起に終わるシナプス終末の減少が認められた。しかし、分子層、プルキンエ細胞層、顆粒細胞層の糸球体周囲にはシナプス終末構造の増加が認められた。 (2)グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)の抗体で光顕及び電顕レベルでの免疫組織化学でGABA含有神経終末の分布を検討したところ、WMSで小脳分子層、プルキンエ細胞層、顆粒細胞層の糸球体周辺部、小脳核で明確に増加していており、(1)で観察した増加しているシナプス様終末の一部はGABA陽性シナプス小胞を含むことが想定された。 (3)WMS海馬CA1では、GTP結合蛋白質(Go)の免疫組織化学で、錐体細胞の樹状突起が直線状でその密度が疎になっていた。更に分子層には有髄神経線維の集束がWMSに見られ、電顕でみるとシナプス終末の大きさ、分布に差が見られた。 (4)以上のことから、WMS中枢神経系において、ニュ-ロンの空間的な構築を形成する因子は正常に保たれていながら、ニュ-ロン間の最終的な連結部で何等の異常があり、それが微小域での回廊網に変更が加えられていると考えられる。したがって、WMSは中枢神経系の情報伝達系の機構を明らかにするために有力な疾患マウスとして重要であると考えられる。
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