研究概要 |
交感神経系の節前神経細胞,節後神経細胞および標的組織との間に,どのような機能的特異性を持った線維連絡が成されているのか未だ明らかでない。本研究ではenkephalin(ENK)節前神経に注目し,これが交感神経節のどのタイプの節後ニュ-ロンに連絡し,さらにその節後ニュ-ロンは,どのような標的組織を特異的に支配しているのかを逆行性トレ-サ-実験,免疫組織化学によって調べた。 1.イヌ交感神経節の二重蛍光免疫組織化学によって,上頚神経節,星状神経節,L_6ーS_1神経節の非カテコラミン性VIP陽性細胞が篭状ENK終末によって特異的に支配されることが明らかになった。 2.Fast blue逆行性標識と免疫組織化学によって,星状神経節に投射するENK終末は主にTh_1ーTh_5脊髄中間質外側核に由来すること,また,ENK支配を受ける星状神経細胞はVIP/CGRP/SPを共存し,手掌に投射することが明らかになった。 3.手掌の免疫組織化学によって,汗腺支配神経がVIP/CGRP/SPを共存することが明らかになり,脊髄中間質外側核ENK含有節神経→星状神経節VIP/CGRP/SP含有神経細胞→汗腺という標的特異的線維連絡が解明できた。 4.電子顕微鏡免疫組織化学により,篭状ENK終末は星状神経VIP/CGRP/SP陽性細胞体に直接接触し,樹状突起と非対称性シナプスを形成していることが明らかになった。 5.追加研究において,イヌ喉頭内にVIP/ー,VIP/SP,VIP/NPY,VIP/SP/NPY,VIP/ENK含有神経細胞からなる神経節を認め,これらの神経が喉頭腺,血管壁を標的特異的に支配していることが明らかになった。
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