研究概要 |
カテコ-ルアミン合成の律速酵素であるチロシンをLーDOPAに変換するtyrosine hydroxylase(TH)を含有するが、 DOPAをド-パミンに変換する酵素である aromatic Lーamino acid decarboxylase(AADC)を含有せず、大量のLーDOPAを含んでいるニュ-ロン系(以下 LーDOPA/TH ニュ-ロン系)を免疫組織化学、 in situ hybridizationの手法を用いて検索した。1.先に報告したラット視床下部弓状核外側底部から正中隆起外層に投射するLーDOPA/TH ニュ-ロン系 (Okamura et al.,Neurosci.Lett., 95, 42ー46, 1988.; Okamura et al.,Neurosci.Lett.,95,347ー353,1988.;Okamura et al.,Biomedical Research 9,261ー267,1988.)以外に、食塩水負荷時のラット視床下部室傍核ー下垂体後葉系にLーDOPA/THニュ-ロン系を発見した。この室傍核の大細胞性ニュ-ロンには、 2%食塩水負荷時に TH免疫活性、 LーDOPA免疫活性、 TH mRNAのin situ hybridizationの陽性シグナルが劇的に増え、正中隆起から下垂体後葉にTH、LーDOPAの免疫活性の増大が認められた。この視床下部ー下垂体後葉系においてはAADC及び、ド-パミンの免疫活性は認められず、 LーDOPA/THニュ-ロンの新しい系と考えられる。2.視床下部以外にも、中脳中心灰白質周囲にLーDOPA/THニュ-ロンが散在して見つけられた(Okamura et al.,in Alzheimer and Parkinson´s Disease II,Plenum,in Press.)。3.ゲッ歯類以外の動物においても検索した。ネコにおいては、現在までのところLーDOPA/THニュ-ロンは確認されなかったが(Kitahama,Mons,Okamura et al.,Neurosci.Lett.,95,47ー52,1988.;KiTahama,Geffard,Okamura et al.,Brain Research 518,83ー94,1990.)、サルにおいては、ラットと同様、視床下部弓状核外側部、室傍核後部にTH含有/AADC非含有細胞が認められた。
|