ウサギ腎近位尿細管初代培養細胞を使って細胞容積調節機構を調べた。近位尿細管細胞は、低張液ショック後一過性にその容積が増加し(約一分後)元の容積に復する。この時間経過は外液のCaに依存しており、0Ca+0.1mMEGTA添加で有意に増加した。この細胞の頂部膜にはCaーactivated K channel(200 pS)が存在し、低張液ショックにより著しく活性化されることがわかった。5 mM Ba(bath)は、低張液ショックによるKチャネルの活性化をほぼ完全に抑制した。さらにBaは細胞容積調節に要する時間を有意に増加した。Wholeーcell clamp法(currentーclamp mode)で細胞内電位を測定すると、細胞内電位は低張液ショック後一過性に過分極し、続いて脱分極した。この時間経過は、低張液ショック後の細胞容積変化の時間経過に一致した。二次的な脱分極の原因として1)Kチャネルの非活性化、2)Kチャネル以外のチャネル、例えばClチャネルの活性化が考えられた。patch電極の電解質組成をKClからKgluconateに置換し同様の実験を行ったところ、低張液ショック後の二次的な脱分極は観察されなくなった。細胞外液5 mMBa存在下で低張液ショック後のCl電流を測定した。Cl電流は部分的に細胞外Caに依存し、20uMSITSにより有意に抑制された。 以上まとめると、低張液ショック後の細胞容積調節には細胞内から細胞外へのKCl放出が必要である。KとClはそれぞれ独立した経路(Kチャネル及びClチャネル)を通って細胞外へでると考えられる。特にKチャネルの活性化には細胞外から細胞内へのCa流入が必要である。
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