研究概要 |
本研究の目的は,申請者が開発中の画像ー電気信号同時計測システムを用いて,今まで不可能であったStretch Activated Channelの定量的刺激応答特性を得るとともに,膜容量の測定を通してこのChannelの活性化機構に関する分子メカニズムに迫ることである。本年度は同時計測システムのハ-ドウェアとソフトウェアがほぼ完成すると共に,膜伸展に伴なう膜容量の変化を測定することに成功した。 1,ハ-ドウェア:レ-ザ光学用のスライダと高精度直流モ-タを用い,パルス巾およびパルス高サ-ボコントロ-ルを組合わせることにより,0.1μm以下の制御精度,0.2μm15の分の安定性を有するリモ-トマニピュレ-タを製作した。また画像記録テ-プ上に書き込まれたタイムコ-ド(SIMPLE CODE)を位相ロック回路を用いてシリアルに読み出すデコ-ダを製作した。 2,ソフトウェア:デコ-ダからのタイムコ-ドをもとに任意のフレ-ムから任意の問隔で画像を拡張RAM上に取り込むプログラムを完成した。また電気信号収集プログラムを改良して,タイムコ-ドをモニタすることにより,電気信号と画像の周期がとれるようにした。さらに取り込んだ画像に適当なウィンドウをかけて,原画像を1/10程度に圧縮し,以後の処理速度を格段に向上させた。 3,膜容量測定:位相ロックインアンプを10KHzの正弦波で駆動することにより,機械刺激による膜伸展中の膜容量変化を測定した。この結果より,脂質2層膜は張力発生にあまり寄与せず,むしろ膜の裏打ち細胞骨格系がチャネルへ張力を伝えていることが示唆された。
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