研究課題
腎によるエリスロポエチン(Epo)生成機構の解明に関連して、本年度はラットにつき、低圧ハイポキシア負荷時における血漿Epo値の時間推移を確定し、さらに強い腎毒性をもつアミノ配糖体GentamicinのEpo生成に対する影響をみた。1.ラット血漿Epo測定法の確立実験用イヌ供給事情の悪化その他の事由により、動物をイヌからラットに変更した。それに伴い、ラット血漿についてEpo測定法を確立する必要に迫られた。透析、酸〜エ-テル〜クロロフォルム処理、加熱(53℃-30分)、煮沸(5分)及びこれらの組み合せによる血漿前処理法を試みた結果、透析によりEpoをさほど損なうことなく、障害因子を効率的に除去することが出来た。2.低圧ハイポキシア負荷ラットの腎におけるEpo生成の検討Sprague-Dawley系ラット(♂、10週令)を低圧室内(266torr)に種々時間おいた後、麻酔下に挿管し、低O_2(7.3%)ガスを呼吸させつつ開腹、左腎動〜静脈にカニュ-レを入れ、任意時間に採血した。血漿Epoはハイポキシア負荷により急上昇し、6h後に最高値に達した後、徐々に低下、48h後には当初値に復した。マウス(ピ-クは48〜72h後)に比し、著しく速い経過であることが注目される。3.Gentamicin投与の影響Gentamicin(67.5mg/kg)を14日間投与したラットにつき、上記2と同条件でハイポキシアを負荷した場合、血漿Epoの上昇はみられなかった。また腎の組織額的検索により、近位曲尿細管部に特異的に傷害(混濁腫脹、硝子様変性等)の生じていることがわかった。以上の諸事実から、近位尿細管部域とEpo生成との間には、密接な関連のあることが示唆される。
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