冠循環の神経性調節に関する基礎研究

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01570053
• 研究機関: 国立循環器病センター
• 研究代表者: 二宮 石雄 国立循環器病センター研究所, 心臓生理部, 部長 (80033976)
• 研究分担者: 西浦 直亀 国立循環器病センター研究所, 心臓生理部, 室員 (70132933) ; 秋山 剛 国立循環器病センター研究所, 心臓生理部, 室員 (70202554) ; 白井 幹康 国立循環器病センター研究所, 心臓生理部, 室長 (70162758)
• キーワード: 冠循環 / 神経調節 / 心筋組織間ノルエピネフリン

研究概要

冠循環の神経性調節を解明するために、前年度に引き続き2方向より冠動脈内径を計測する技術の確立に務めた。しかし、ネコではどうしても信頼にたる時間および空間分解能の画像をとることが出来なかった。
その理由は、軟X線TVシステムの精能の問題よりも生物学的問題があるとの結論に達した。その第1は、冠血管内での造影剤の分布が不均等となることであった。小さい冠動脈へのカテ-テル操入の影響が残った。第2は、造影剤の冠血管および心筋への影響を除くことが出来なかった。そこで、心筋組織内のカテコ-ルアミンを正確に計測出来る技術の確立に多くの時間を費やした。そして、これに成功した。
1.心筋組織間ノルエピネフリン濃度の測定技術
冠血管周囲の心筋組織間ノルエピネフリン濃度は心筋収縮性のみでなく、冠血管平滑筋収縮性にも重要な働きをしている。そこで、局所の生体内心臓の局所交感神経活動を推定するため局所の組織間ノルエピネフリン濃度を計測した。Dialysis技術を用い、新しくデザインしたプロブ(50,000mol wt cut off出来る18×0.31mmの長さと内径)を用い、動いている心臓(左心室)から毎分5eelのリンゲル液で潅流し、潅流液中ノルエピネフリン濃度から組織間のノルエピネフリン濃度を推定した。左星状神経節の電気刺激(4H_2)で82pg/mlと約2倍に増加した。潅流液中ノルエピネフリン濃度は高速液体クロマトグラフィで行った。recovery rateは約30%であった。麻酔下ネコ左心室の潅流液中カテコ-ルアミン濃度は定常状態で41pg/mlであった。
2.冠循環を局所時に停止すると局所の心筋組織間ノルエピネフリン濃度は冠血流量に逆比例して増加することを見出した。(1)の成果はAm,J,Physiolに発表し、2の成果は投稿中。

研究成果

• [文献書誌] Akiyama.T T.Yamazaki I.Ninomiya: "In vivo monitoring of myocardial interstitial norepinephrine by dialysis technique." Am.J,Physiol. 261. H1643-1647 (1991)
• [文献書誌] Shirai.M.K.Sada.I.Ninomiya: "Constrictor response of small pulmonary arteries to acute pulmorary hypertension during left atrial prassure elevation." Japan.J,Physiol. 41. 129-142 (1991)
• [文献書誌] Shirai.M,.K.Sada,.I.Ninomiya: "Thromboxane A_2/endoperoxide receptors mediate cholinergic constriction of rabbit lung microvessels." Am,J,Physiol. (1992)
• [文献書誌] Ninomiya,I.,Malpas.S,C.,Matsukawa,K.,Shindo,T.,Akiyama,T: "Ampl:tude and frequency modulation in synchrorized cardiac sympathetic nerve activity by thoracic pregang lionic neurous in anesthetized cats." Am,J,Physiol.
• [文献書誌] Akiyama,T.Yamazaki,T.Ninomiya,I: "Effects of coronary occlusion on regioal myocardi cal interstitial norepinephrine." Am,J,Physiol.