研究課題/領域番号 |
01570087
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
椛 秀人 高知医科大学, 医学部, 助教授 (50136371)
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研究分担者 |
高橋 徹 高知医科大学, 医学部, 助手 (60216736)
佐藤 隆幸 高知医科大学, 医学部, 助手 (90205930)
瀬戸 勝男 高知医科大学, 医学部, 教授 (70045970)
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キーワード | 記憶 / フェロモン / 隆起漏斗系ド-パミン神経分泌細胞 / 副嗅球 / 電場電位 / 電流源密度解析 / 興奮性アミノ酸受容体 |
研究概要 |
雌マウスが交尾を行うと、この交尾刺激が引き金となって交尾相手の雄の尿中フェロモンに対する長期記憶がこの雌に形成される。元来、雄のフェロモンには雌に流産を引き起こす作用があるが、このフェロモンが記憶されているとフェロモンによる流産が阻止される。なじみのない雄のフェロモン、つまり記憶されていないフェロモンは、副嗅球を活性化して流産を引き起こす。まず、我々は、流産へ導くフェロモン情報が分界条を通り、隆起漏斗系ド-パミン神経分泌細胞へ伝達されることを見出した。妊娠を保証するフェロモンの記憶に関して、我々は、副嗅球がフェロモンの記憶の主座であることを見出すとともに、副嗅球内の僧帽細胞と顆粒細胞との間の樹状突起樹状突起間シナプスが可塑性の場であることを突き止めた。このシナプス可塑性の電気生理学的相関を検討するのあたり、まず、鋤鼻器官刺激によって副嗅覚球に誘発される電場電位の電流源密度解析を行った。電流の流入口は、鋤鼻神経終末と僧帽細胞の主樹状突起との間のシナプスのある系球体層と、僧帽細胞と顆粒細胞との間の樹状突起樹状突起間シナプスのある外叢状層に認められた。電流の流出口は深層の顆粒細胞層に認められた。外叢状層の流入口の発生は興奮性アミノ酸受容体の拮抗薬の副嗅球内注入で遮断された。遮断作用は、non-NMDA受容体の拮抗薬であるCNQXで最も強く、続いて非選択性拮抗薬であるキヌレン酸、NMDA受容体の拮抗薬であるAP5の順であった。一方、系球体層の流入口の発生は興奮性アミノ酸受容体の拮抗薬にはほとんど影響されなかった。
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