1.cDNAクロ-ニング ラット及び鶏から各々二種類及び四種類のリボソ-ム蛋白cDNAクロ-ンを分離した。このcDNAは以後の遺伝子クロ-ニングにブロ-ブとして使用したが、同時にその塩基配列から得られたリボソ-ム蛋白の構造に関する情報もリボソ-ムの構造、機能、進化の解析に極めて有用なものであった。 2.遺伝子クロ-ニング 鶏の遺伝子ライブラリ-より四種のリボソ-ム蛋白、L5、L7a、L30及びL37aの遺伝子クロ-ンを分離し、プロモ-タ-領域を含め各各約8.5、4.5、4、3.5キロベ-スの塩基配列を決定した。 3.リボソ-ム蛋白遺伝子の転写調節領域の特徴 解析した四種のリボソ-ム遺伝子には、典型的なCAATboxやTATAboxは無く、CpG、ダイマ-の密集したいわゆるCGアイランドを形成していること、及び転写因子SpIの結合部位とされるGCboxが複数存在することなど、ハウスキ-ピングジ-ンに共通の特徴を持っていた。 塩基配列を決定した四種の遺伝子全てに共通している、転写調節に関わると思われる配列を見出すことはできなかったが、二種あるいは三種の遺伝子の間に共通した、調節因子ないし開始因子の結合部位となりうる可能性を持つ配列が存在する。また5SRNA結合蛋白であるL5のプロモ-タ-部には、5SRNAの内部転写調節部位と類似の配列も見出された。 このように、リボソ-ム成分の遺伝子の転写調節は複雑なからみ合いの上に成り立っていると考えられるが、ここで特定されたエレメントが実際に転写にどう関わっているかを調べるため、CATアッセイ、核抽出蛋白結合実験などを進めている。
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