1.ラット脳よりシナプトゾ-ムを調整し、シスチン・グルタミン酸交換輸送を調べた。シナプトゾ-ム内にグルタミン酸を負荷すると、このシナプトゾ-ムは、対照に比べ、より多くのシスチンを取りこむことが示された。このことはシナプトゾ-ムでシスチン・グルタミン酸の交換が起きていることを示唆する。しかし、シスチンがかなりの量、非特異的にシナプトゾ-ムに吸着することも判明した。シナプトゾ-ム内へのシスチンの取りこみに対し、類縁アミノ酸がどう作用するかなどを調べるには、この非特異的吸着を識別し、差し引くことが必要となった。 2.妊娠16日の胎児ラットの大脳から細胞を単離し、シスチン・グルタミン酸輸送を調べた。この単離細胞の大部分は神経細胞であるが、明らかに、シスチン・グルタミン酸交換輸送系の活性を示した。この単離細胞をシャ-レに培養し、シトシンアラビノシドを用いて神経細胞をさらに選別した場合にも、明らかな輸送活性が検出された。 3.新生児ラットより大脳星状細胞を培養し、シスチン・グルタミン酸交換輸送を調べた。この初代培養星状細胞は強い輸送活性を示した。また、輸送されたシスチンは細胞のグルタチオンのレベルを維持するのに働き、シスチン欠乏下ではグルタチオンの極度の減少から細胞死に至ることが明らかとなった。 4.活性化したマクロファ-ジは強いシスチン・グルタミン酸交換輸送活性を持つことが分かっているが、この細胞からm-RNAを単離し、輸送担体のC-DNAをクロ-ニングすることを目的とした実験を行った。C-DNAライブラリ-はほゞ満足のいくものができ上がり、クロ-ニングに取りかかった。
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