研究概要 |
鶏T蛋白質の部分アミノ酸配列に対応する3種類の合成オリゴヌクレオチドをプロ-ブとして、鶏肝cDNAλgt11ライブラリ-をスクリ-ニングし、全プロ-ブに陽性の7つのクロ-ンを得た。いずれもT蛋白質のクロ-ンで、最長のインサ-トを持つクロ-ン(CT5C)はT蛋白質のC末側214残基をコ-ドする領域と、3'非翻訳領域、poly(A^+)鎖を含んでいた。全長のクロ-ンを得るため、T蛋白質のN末端付近のアミノ酸配列に対応する合成オリゴヌクレオチドをプロ-ブとした同じライブラリ-の再スクリ-ニング及びCT5CcDNAをプロ-ブとした別の鶏肝cDNAλgt11ライブラリ-のスクリ-ニングを行ったが、後者でより短い多数のクロ-ンが得られたのみで、全長のものは得られなかった。CT5CcDNAをプロ-ブとして牛肝cDNAλgt10ライブラリ-をスクリ-ニングし、インサ-ト長の異なる20個のクロ-ン得た。このうち約2kbp(BT5A),1.5kbp(BT2)及び1.2kbp(BT11A)のインサ-トを持つクロ-ンを選んでシ-クエンスすると、得られたアミノ酸配列は鶏T蛋白質の対応する領域との相同性が82%と高く、これらのクロ-ンがT蛋白質のものと同定された。BT5Aは開始コドンを含む1191bpの翻訳領域(アミノ酸397残基をコ-ド)に続いて704bpの3'非翻訳領域とpoly(A^+)鎖を有していた。成熟型牛T蛋白質のN末端アミノ酸配列は現在分析中であるが、鶏T蛋白質と相同部位を並べると、約20残基の延長ペプチドを持つと予想された。この部位はミトコンドリア蛋白質延長ペプチドに見られる特性を有していた。牛T蛋白質のN末及びC末は塩基性アミノ酸に富み、他に塩基性アミノ酸のクラスタ-がいくつか見られた。これらの部位は酸性蛋白質であるH蛋白質との相互作用部位の候補となりうる。葉酸結合部位の共通配列としてthymidilate synthaseで同定されているアミノ酸配列は牛T蛋白質には見い出せなかった。
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