研究概要 |
私達は、ヒト培養骨芽細胞の石灰化をプロスタグランジン(PG)D_2が著しく促進することを最近発見した。この作用機構について昨年度の結果をふまえて引き続き検討し以下のことが明らかになった。 1.PGD_2の血清代謝物である ^<12>△ーPGJ_2が活性型であることが昨年度の研究結果で判明している。そこで、 ^<12>△ーPGJ_2処理によって石灰化の基盤であるコラ-ゲン合成が促進されているかを、FluorographyおよびNorthern blotting法にて検討した。その結果10^<ー5>M ^<12>△ーPGJ_2によってI型コラ-ゲン合成が1.7倍に増加していた。またmRNAも1.7倍に増加しており、転写および翻訳レベルでコラ-ゲン合成を促進していることが判明した。 2.骨芽細胞が産生する非コラ-ゲン蛋白のうちオステオカルシンを,ヒトに特異的な抗体を使って酵素免疫法で測定したところ、細胞から培養液中に遊離される量は増加しないが、細胞層に沈着している量は活性型ビタミンD_3と同じ位増加していた。 3.PGD_2,PGE_2で処理した場合、細胞内cyclic AMP量は増加するが、 ^<12>△ーPGJ_2で処理した場合は、cyclic AMPの増加がみられないことから、おそらく特異的受容体を介さないで直接細胞内に入り作用するものと思われる。
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