| 研究概要 |
1.アメフラシ神経系特異糖脂質(FGLーIIb,Fー21,FGLーIIa及びFGLーV)の構造決定
新潟大学理学部臨海実験所(佐渡)でアメフラシを採取し、神経組織を分離後Folch等の方法により、全脂質の抽出を行い、水溶性画分を濃縮、透析、凍結乾燥後Sephadex Gー50を通し、総糖脂質を得た。この総糖脂質画分より、それぞれの糖脂質を精製し、糖組成、脂肪酸及び長鎖塩基のGLCによる分析、比色定性定量分析及びアミノ酸アナライザ-による隣、ヘキソサミン、2ーaminoethylphosphonateの定量、更にメチル化分析、FABーMS,NMR分析により全化学構造を決定した。FGLーIIa,FGLーIIb,FGLーVは非還元末端ガラクト-スの3および4位の水酸基にピルビン酸が結合している神経線維に特異なフォスフォノ糖脂質であった。Fー21は、先に報告したSGLーII,SGLーI'と同じ糖鎖構造を有し、2ーaminoethylphosphonateを3モル結合した神経系所異フォスフォノ糖脂質であった。
2.FGLーIIbによる抗原の組織内分布とその特性
FGLーIIbに対して作製したポリクロ-ナル抗体を用い、免疫組織化学的実験により、アメフラシのabdominal ganglion,cerebral ganglion及びskinに共通して末梢と中枢のnerve bundlesが特異的に染め出され、神経細胞やそのほかの細胞に染色を見られなかった。そのnerve bundlesの染色はaxonの外側の細胞外マトリックス成分が不均一な形で染めだされた。更に、これらの染色は脂質性の抗原によるものであった。FGLーIIb抗体は、ピルビン酸のカルボキシル基をエピト-プとして認識し、FGLーIIa,FGLーV,Fー9,Fー1とも反応した。本抗体に反応性を示す糖脂質は、nerve bundlesに局在し、細胞外マトリックス成分と何らかの関わりを持って神経機能に役割を果たしているものと考える。
3.アメフラシ神経系特異糖脂質の機能
単離したアメフラシ神経節細胞、継代培養ニュ-ロンとアメフラシ神経節の実験系を用いピルビン酸含有糖脂質の生物活性をしらべた。はっきりした結果は得られていない。
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