研究課題/領域番号 |
01570162
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
児玉 裕敬 高知医科大学, 医学部, 教授 (70032886)
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研究分担者 |
大野 貴司 岡山大学, 医学部, 助手 (80203884)
中村 啓代 高知医科大学, 医学部, 教務員 (60217891)
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キーワード | Prolidase deficiency / erythrocytes |
研究概要 |
プロリダ-ゼ欠損症患者の赤血球中にはプロリダ-ゼが完全に欠損していると考えられていた。しかしその後種々の基質を用いて基質特異性を調べてみるとGly-proに対しては非常に低い活性しかないが、Met-proに対しては比較的高い活性が残存していることが明らかになった。そこで、正常人、患者及び患者の母親の赤血球を用いてプロリダ-ゼの部分精製をTSK DEAE-5pw、TSK G3000sw党のカラムを使用して、高速液体クロマトグラフィ-で行なった。その結果、正常人の赤血球中にはプロリダ-ゼIとIIの二つの酵素があることが明らかになった。プロリダ-ゼIはAla-proとGly-proに対して高い活性を示し、プロリダ-ゼIIはMet-proに対しても最も高い活性を示した。またプロリダ-ゼIは熱処理に対して比較的安定であったが、一方プロリダ-ゼIIは熱処理に対して非常に不安定であった。両酵素ともMn^<2+>イオンによって活性化された。TSKG3000swによる分子量の測定ではプロリダ-ゼIは112、000で56、000の二つのサブユニットから構成されていた。プロリダ-ゼIIは185、000であった。患者の母親の赤血球中にもプロリダ-ゼIとIIの酵素活性が確認された。しかし母親のプロリダ-ゼIの活性は正常人の活性の約半分に減少していた。しかし、プロリダ-ゼIIの物理化学的性質は正常人のそれと同じであった。このことは母親のプロリダ-ゼIの酵素のアミノ酸配列に変化がおき、活性に変化がおきていることが考えられる。 同様にして患者の赤血球中のプロリダ-ゼの精製をしたところ、正常人の赤血球中のプロリダ-ゼIの活性が完全に欠損していることが明らかになった。一方プロリダ-ゼIIの酵素の物理化学的性質は正常人のそれと全く同じであった。患者の下腿潰瘍の発現機構については現在研究中である。潰瘍の治療についてはクリシンとプロリンの軟膏を患部につけたところ、潰瘍の治癒が認められた。
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