| 研究概要 |
我々は1976年に日本では初めてプロリダ-ゼ欠損症の患者を発見し、その尿中には種々のイミノジペプチドが排泄されていることを報告してきた。また本患者にはプロリダ-ゼが完全に欠損していると考えられていたが,正常人の赤血球中のプロリダ-ゼを詳細に調べてみると、プロリダ-ゼにはGlyーproに対して活性の高い酵素(Prolidase I)とMetーproに対して活性の高い酵素(Prolidase II)の二つが存在することが明らかになった。
そこで本症患者、患者の両親の赤血球中のプロリダ-ゼを詳細に調べてみると、患者ではGlyーproに対する酵素は殆んど完全に欠損していた。しかしMetーproに対する酵素活性は正常人の酵素活性と殆んど変わらなかった。両親の赤血球中の酵素のうちGlyーproに対する酵素活性は正常人の約半分に低下していた。しかしMetーproに対する酵素活性は正常人の酵素活性とほぼ同じであった。これらの結果はプロリダ-ゼ欠損症患者ではGlyーproに対して酵素活性の高い酵素が欠損しているために、患者の尿中に多数のイミノジペプチドが排泄されていることを示している。また最近正常人の赤血球中の酵素をくわしく調べてみると、これまでに検出したProlidase I、Prolidase IIとは異なった3番目の酵素Prolidase IIIが存在することが明らかになり、現在Prolidase I、II、IIIの酵素の精製をDEAE5pw、Mono P等のカラムを用いて行ない、これらの酵素の物理化学的性質について検討を行なっている。
また本患者の難治性下腿潰瘍の治療についてはグリシン、プロリン等の軟膏を患部につけることにより治療の効果を試み、かなりよい成績を得ている。
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