研究概要 |
予備実験としてラット脳600gより硫安塩析、DEAEイオン交換クロマトグラフィ-、クロマトフォ-カシングそしてゲル濾過によりアミノブチルアルデヒド(ABAL)を酸化する活性画分を得た。ABALを酸化する画分はpI 5.5-6.0に分布する3分画に分かれたがアルドラ-ゼ(AC型アイソザイム)の微量混入を否定できなかった。これらの結果を考慮してラット脳1.1kgより硫安塩析、DEAEイオン交換クロマトグラフィ-、5'-AMPセファロ-ス、燐酸セルロ-ス、ブル-セファロ-ス並びにゲル濾過の各クロマトグラフィ-からABALを酸化する2画分(pI5.5,5.7)を得た。その一つ、pI5.7の画分は総括性、比活性とも高くさらに解析を進めた結果、分子量210,000(分子量50,000のサブユニットよりなる4量体)の単一標品、0.47mgを得た。本標品はABALに中等度(km=151.5μM)、アセトアルデヒドに高度(km=20.0μM)の基質特異性を持つアルデヒドデヒドロゲナ-ゼのアイソザイムと判明し、アミノ酸組成もこれを裏づけた。本酵素の性格は最近ヒト肝臓より分離精製されたアルデヒドデヒドロゲナ-ゼアイソザイムE_3(ABAL dehydrogenaseと報告されている)とE_2、E_1の中間的基質特異性をABALに対し示し、biogenic aldehydeの酸化(代謝)、ひいてはGABA産生に深く関与していることも否定できなかった。今後は本酵素に対する抗体を作製し脳内の酵素分布を検索すると同時に、もう一つの活性画分の精製も手掛けていく予定である。
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