研究課題/領域番号 |
01570167
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
大川 清 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90112812)
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研究分担者 |
高田 耕司 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30179452)
朝倉 正 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30138705)
松田 誠 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (80056506)
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キーワード | アルデヒド脱水素酵素 / GABA / 神経伝達物質 / 4ーアミノブチルアルデヒド |
研究概要 |
ラット脳1.1kgより硫安塩析、DEAEイオン交換クロマトグラフィ-、5'ーAMPセファロ-ス、燐酸セルロ-ス、ブル-セファロ-ス並びにゲル濾過の各クロマトグラフィ-からアミノブチルアルデヒド(ABAL)を酸化する二つの活性画分(pI5.5,5.7)を得た。pI5.7画分は総活性、比活性とも高く解析を進めた結果、分子量21OkDa(50kDaのサブユニットより成る4量体)の単一標品、0.47mgを得た。本標品はABALに中等度(km=151.5μM)、アセトアルデヒドに高度(km=20.0μM)の基質特異性を持つアルデヒドロゲナ-ゼのアイソザイムト判明し、アミノ酸組成もこれらを裏づけた。本酵素に対する多、単クロン抗体を家兎あるいはマウスで常法にて作製し脳内の酵素分布を検索した。二匹の家兎のリンパ節免疫で得られた各多クロン抗体はSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動とインムノブロット法で50kDaの精製標品を認識したが、オクタロニ一法では充分な沈降線を得るほど高力価ではなかった。一方ハイブリド-マ法で得た単クロン抗体も同法で50kDaバンドを認識したが高力価抗体は得られなかった。これは本酵素が多くの生物種に遍く存在していることからも抗体価のより強い上昇が期待できない結果と考えられた。本抗体は免疫組織学的検索には使用可能でありパラホルムアルデヒド環流固定ラット脳のビブラト-ム切片上でのABC法で本酵素は神経細胞の細胞質、樹状突起に染色性を認めたが特定の神経核等の特異局在は示さなかった。このことは本酵素がbiogenic aldehydeの処理などにかかわる脳の基本的存在酵素の一つである事が示唆され、これは鶏胚の発生過程、あるいはPC12培養細胞のNGFによる分化誘導に於ける活性の変動からも証明された。今後はもう一つの活性画分の精製を更に行っていく予定である。
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