研究課題/領域番号 |
01570169
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野島 孝之 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (50142732)
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研究分担者 |
阿部 周一 北海道大学, 理学部, 助手 (80125278)
長嶋 和郎 北海道大学, 医学部, 教授 (50010377)
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キーワード | ユ-イング肉腫 / 神経特異性エノラ-ゼ / 神経外胚葉 / 神経芽細胞腫 / 骨腫瘍 / 細胞病理学 / 単クロ-ン抗体 / 組織診断学 |
研究概要 |
発生母組織の未決定なユ-イング肉腫を研究計画に従い、多方面的に検索し、平成元年度に以下の知見を得た。 1.従来より保持していたSeki株の他に、2例のユ-イング肉腫の株化(ヌ-ドマウス継代株と培養細胞株)に成功した。Seki株はNoro株は骨由来。Tsukasa株は軟部組織由来である。 2.光顕的には、3例共に小円形細胞のびまん性増生からなり、Seki症例のみロゼット形成が見られた。免疫組織学的には神経特異性エノラ-ゼが3例共陽性を示した。電顕的観察では未分化な間葉系細胞を示唆したが、神経内分泌顆粒や微小管は認めなかった。 3.染色体分析では、Seki株とNoro株に特徴的なt(11;22)(q24;q12)を認めたが、Tsukasa株ではこの相互転座見られなかった。 4.Seki株を用いてサザンブロット法、ノザンブロット法によりN-myc、C-myc、N-ras、ets-1の増幅、再構成や発現の消長の有無を検討したが、特異的な所見は得られなかった。現在他2株について検索中。また11q24と22q12の近傍のプロ-ブを入手し、更に検討する予定である。 5.単クロ-ン抗体の作成では2クロ-ンが得られ、パラフィンおよび凍結切片にて免疫組織学的に検索しているが、骨肉腫や神経芽細胞腫症例とcross reactionがあり、更に検討が必要であった。 6.形態学的に神経芽細胞腫と類似を有し、また神経特異性ノラ-ゼが高値を示す点より神経芽細胞腫との相関性が重要である。新たに神経芽細胞腫の培養細胞株を樹立し、その性状を明らかにできたので論文として公表する予定である。これは神経外胚葉に起源由来を考えているユ-イング肉腫との比較検討に有用と思われる。
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