研究課題/領域番号 |
01570176
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
川生 明 山梨医科大学, 医学部, 教授 (30059224)
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研究分担者 |
田坂 捷雄 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (40093265)
鈴木 幸一 山梨医科大学, 医学部, 助手 (20206478)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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キーワード | 甲状腺 / 発癌 / BrdU / 性ホルモン / アンドロゲン受容体 / 癌遺伝子 / 細胞培養 / ヌ-ドマウス移植 |
研究概要 |
1.Diisopropanolnitrosamine(DIPN)の投与によりラット甲状腺に誘発した腫瘍の細胞培養とヌ-ドマウスへの移植を行い、in vitroの実験系の確立を試みた。現在までに3種類の細胞株を樹立した。それらは培養器内で単層に増殖し、上皮性の配列を呈するが、免疫染色により、サイログロブリンの産生は殆んど証明されない。腫瘍組織片はヌ-ドマウス背部皮下に生着する。組織形態は移植当初より低分化を示すとともにサイログロブリン産生能も低下する。 2.DIPN誘発ラット甲状腺腫瘍の組織発生と増殖能の解析を行った。病変は濾胞単位の異形成に始まり(type 1)、漸次、複数の濾胞から成る結節を形成する。結節は構造上および細胞学的異型性から弱いもの(type 2)と強いもの(type 3)に分類され、後者は癌とみなされた。癌の多くはtype 2から移行するが、1部はtype 1から直接形成される所見を得た。bromodeoxyuridine(BrdU)標識法による増殖能の分析によりtype 3はもっと高い増殖能を有することを証明した。 3.本実験系の腫瘍発生と進展におよぼす内分泌因子として性ホルモンによる影響を検討した。その結果、ヒトの場合と逆に雄ラットに高頻度に発生し、去勢により減少、テストステロン投与によって発生頻度が回復することが判明した。テストステロンの作用機序についてオ-トラジオグラフィ-と受容体結合によって検討した結果、アンドロゲンが甲状腺濾胞上皮の受容体との結合を介して発癌に促進的に作用する可能性が推測された。 4.活性酸素の発癌に果す役割を検討するためにsuperoxide dismutase(SOD)のラット実験腫瘍における発現を免疫組織化学的に検出した。その結果、SODは癌化の過程で発現が低下する傾向が示されたが、一部の癌ではMnーSODの発現が逆に亢進しており、その意義は今後の検討課題として残された。
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