非浸潤性肝細胞癌は高分化で浸潤傾向に乏しく、周囲肝実質を大きく破壊する事なく、肝小葉構造にそって一見規規則に広がるような発育を示す。このような肝細胞癌の血洞と、非癌部肝組織、腺腫様過形成の類洞、および浸潤癌(Edmondson grade II以上のより低分化な肝細胞癌で膨脹性または浸潤性に発育する。)の血洞との異同を免疫組織化学的に検討した。 対象は非浸潤癌の内部に浸潤癌を認める肝細胞癌12病巣と腺腫様過形成9病巣である。ホルマリン固定パラフィン包埋切片を用い、UEAー1によるレクチン染色、第VIII因子関連抗原、CD68、リゾチ-ム、LeuーM1について免疫染色を行った。 非癌部肝組織、腺腫様過形成では類洞壁はUEAー1はごく一部に陽性で、大部分は陰性であり、クッパ-細胞は陽性であった。浸潤癌では血洞壁は多くの部分がUEAー1陽性であり、クッパ-細胞陰性であるのに対し、非浸潤癌ではUEAー1の染色性はごく一部に陽性、クッパ-細胞陽性であり、腺腫様過形成や非癌部肝組織とは明らかな差は認めなかった。“類洞"壁の毛細血管化については浸潤癌では著明であるのに対し、非浸潤癌では腺腫様過形成や非癌部肝組織と明らかな差は認めなかった。
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