研究課題/領域番号 |
01570180
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
藍沢 茂雄 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (10056575)
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研究分担者 |
鈴木 正章 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70119816)
猪股 出 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30057046)
山口 裕 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60057073)
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キーワード | 腎糸球体疾患 / 尿細管・間質 / 病理学 / 組織化学 / 電子顕微鏡 / レクチン / 腎生検 / 急性腎不全 |
研究概要 |
1.各種糸球体疾患の腎生検材料を対象に尿細管・間質病変に注目して、主に免疫組織化学的ならびに電顕的に検討した。その結果、(1)原発性糸球体疾患では、尿細管間質沈着物が見られることは稀であり、高頻度に認めるル-プス腎炎とは異なり、免疫グロブリンや補体が尿細管間質病変の形成因子になっているとはいえない。(2)硝子円柱などで充填された尿細管の上皮細胞には組織化学的にレクチン反応の欠如がみられ、間質の浮腫や炎症細胞浸潤を伴い、尿路閉塞により尿細管障害と間質反応が惹起され得る。また、免疫組織化学的に糸球体内にTamm-Horsfall蛋白(THP)を稀に認めるが、その影響は不明である。(3)巣状糸球体硬化症の間質の電顕観察から、微小変化ネフロ-ゼに比べ脂肪滴を含む間質細胞の増生が目立ち、かつ線維化傾向を伴っていた。 2.糸球体と尿細管間質との相互関係ばかりでなく、尿細管と間質との関係を知るため急性腎不全例を対象として病理学的検索を行った。その結果、(1)尿細管上皮障害に加えて尿細管周囲の細血管には内皮細胞の剥離や新生基底膜を電顕的に認め、血管壁障害が間質の浮腫や炎症反応を惹き起こす原因になり得ることがわかった。(2)間質の電顕的観察から、間質細胞が脈管外通液路ともいうべき網状の組織間隙の発達に関与していると思われ、この細胞の多潜能性が示唆された。(3)免疫組織化学的にTHP陽性物を糸球体内に高頻度に認め、静脈内や間質にもしばしば見られ、腎内逆流減少(back leak)が起こっている可能性がある。(4)いわゆる"tubulitis"がときに認められが、同部尿細管基底膜外側に組織間隙としての脈管外通液路が発達し、炎性細胞浸潤を伴っていた。これらは尿細管壁障害による病変と考えられる。(5)いわゆる急性腎不全とミオグロビン尿症とは尿細管上皮の組織化学的反応が異なり、障害機序が違うと思われた。
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