研究課題/領域番号 |
01570184
|
研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
矢倉 英隆 (財)東京都神経科学総合研究所, 微生物学, 副参事研究員 (60166486)
|
研究分担者 |
水野 一也 (財)東京都神経科学総合研究所, 微生物学, 主任研究員 (00219643)
荻本 真美 (財)東京都神経科学総合研究所, 微生物学, 主事研究員 (80158609)
|
キーワード | 自己免疫病 / 抗体クラス変換 / チロシンフォスファタ-ゼ / CD45 / Lybー2 / ILー4 |
研究概要 |
本年度は、CD45、及びLybー2がクラス変換にともなうIgG遺伝子活性化過程をどのように制御しているかを中心に解析し、以下の結果を果たす。まず、LPS、あるいはLPSとILー4により誘導される成熟型のγmRNAの発現に与えるCD45、Lybー2抗体の効果を検討した。B細胞を5日間培養後、RNAを抽出し、抗体重鎖定常部DNAをプロ-ブとしてノ-ザン解析を行った。その結果、CD45抗体は、LPSにより誘導されるγ1、γ2b、γ3mRNAの発現を抑制すること、またLybー2抗体は、LPSとILー4により誘導されるγ1mRNAの発現を抑制することが明らかになった。すなわち、CD45、Lybー2による制御は、組み換えの終了した遺伝子の転写過程ですでに認められることを示唆しており、この制御がμからγへの遺伝子組み換えの過程で行われているのか、あるいはそれ以前の過程であるのがが問題になる。最近、クラス変換が起こる前に、発現されるクラスのゲノム遺伝子転写産物が出現することが報告され、クラス変換のaccessibility modelを支持する一つ証左となっている。そこで、両抗体のゲノム遺伝子転写産物の発現に与える効果を次に検討した。B細胞を3日間培養後、型通りRNAを抽出し、組み換え後には欠損すると考えられるスイッチ領域の5´側断片をプロ-ブとしてノ-ザン解析を行った。その結果、CD45抗体は、LPSにより誘導されるγ2b、γ3ゲノム遺伝子転写産物の発現を、またLybー2抗体は、ILー4によるγ1ゲノム遺伝子転写産物の発現を抑制することが明らかになった。これらの結果は、CD45、Lybー2を介するシグナルが、クラス変換に伴う遺伝子活性化の極めて初期のゲノム遺伝子の転写が起こる過程を制御していることを示唆している。
|